是、申て之を観れば高知は各所中測り得たる最低
廿度にして即ち今回暴風の中心の最温厚度なり遺に
らくは松山高知 松山多度津間に測候所の設けな
きを以って充分該進路調査をなすこと能はすと難に
要するに28日は、午後2時 九州南部の沖にありし
最低気圧七百四十四粍(比時中央気象台は同日午前7
時50分 第一、第二(伊予は二Oの内及ひOOOに
発し置きし沿海警戒を更に海陸警戒を改電せり)
は6時日向沖を経る時前高知地方を突撃茲に始
めて上陸し風向は未曾有の暴威を寡をにしを、非
常なる速度を以って進行し8時頃東予新居宇摩二
郡付近を縦貫するや風候雨師 猛勢を振るいて9
時多度津の近傍を経 30分味野 岡山地方に至り
て尚ほ恐るへき暴風を吹き散らし 10時は伯州境の
東方を経て日本海に入れり(電報不通に付当所は
29日后6時海陸警戒を解き居りしも気象台は関
西地方電信不通の為め遂に31日前6時30分海
陸の警戒を解けり)
今回の低気圧たるや初め海上を疾走せるを以て
深厚となり高知付近に突進するやこの地方を吹き荒
らし高知測候所にて測り得たる最強風速度1秒間
32米にて非常の強風の為同所の風力計遂に
破壊し其最烈を測る能はさるよしと仮に若し測
り得たるは50米以上に達せしは恐力なるへし
高知は斯の如くなるを以て今回暴風雨中の測り得
たる最大風速度は多度津の1秒間52米5に達
し之に次くは岡山の1秒間33米3とす今左
に各測候所の暴風速度其風圧(1間平方面に耐す
る普通圧力)及ひ其風向を順記す
米 貫
多度津 52.5 286.0
高知 32.3 108.3
松山 27.0 77.1
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