この暴風に伴いたる雨量に至りては本県別子に於ける
325粍6 最大なるものにて次は濱田の
156粍3之に亜き和歌山の79粍に松山の
71粍3 之に次 高知近傍は当地の3分の1にて
寡少なる方なり 今各測候所の当日暴風雨中 合計
雨量を列挙すれば左の如く
三百粍以上 別子
百粍以上 濱田
七十粍以上 和歌山 松山 京都
五十粍以上 福岡 境 徳島 赤間O 大分 大坂
三十粍以下 神戸 長崎 佐世保 高知 岡山 熊本
別子は別子尋常高等小学校の報告によるものにて
同山は前記の如き驚くへき多大の降量ありて殊に
28日午正后8時前後 1時間の合計量325粍6
(深さ曲1尺1寸にて 1坪面の溜量にすれは6石)
の実にO 即ち未曾有の大量を暴注せしなを
しとのことなれしは斯の絶大の惨害をOせしものなり
而して同校にては同日午前6時より午后4時
十時間に晴雨計急降すること20粍にて午后4時
最終観測669粍5 (水点更正にして海面点更正に
非さるにより前表中に省く但し同校は海面上納三千尺)
にて其以後は観測するにOなく風計は
午后4時より不良となりて亦た観測を欠きたる由
に付午后8時頃大暴風雨経過の際に於ける最低気圧は
最大風速度は不詳なり
以上之を根拠とし高知、愛媛、香川、岡山、4県下
今回低気圧の進路に当たれるを以って被害多く就中本県
東予地方の如き其街に当ると同時に多大の雨量ありしを以って
其被害の甚しき他地方に勝しるならん 高知の如きは風力に至ては
決して東予地方に譲らすと離も雨量の多大ならさりしを以って
倒家等の被害多きも出水のO少なかりしならん 而して今回の
大風中心は非常のOO風を以って短時間の内に
能く今般の如き被害を蒙らしめしなり