安南ばか詰入門
アンチキルケばか詰、PWCばか詰の各作品展が一段落したので、新企画とうことで、
各フェアリールール総まくりと称して入門講座のようなものを書くことにします。
まず最初は古くからあるルールの代表選手「安南」を取り入れたばか詰”安南ばか詰です。
詰パラでのの発表作数を見ますと、以下の通りです。
〜1979年 19作
〜1999年 36作
〜2006年 6作
合計 61作
何ということでしょう!2000年代に入ってから安南ばか詰はたったの6作しか詰パラ誌上に
載っていないではありませんか。しかも発表総数は、アンチキルケやPWC作品展よりも少ない61作
しかありません。現代の叡智をを擁すればきっとすごい作品が出来るのでは・・・そんな気がしませんか?
まだまだ奥が深いルールと言えるでしょう。
まずはルールの説明からしておきましょう。
いつものようにOFMのルール説明の部屋を見てみます。
【安南】味方の駒が縦に並ぶと、上の駒の利きは下の駒の利きになる
単純で分かり易いですね。
次の図を見てください。
1二玉の下の駒は桂ですので、1二玉は今は桂の利きしか動けません。つまり2四玉しか動けないのです。
例えば1一桂が2三へ動いてしまえば1二玉は自身の元の玉の動きに戻ります。
ここまでは問題ないですね。
次に3つ重なるとどうなるでしょう。
ややこしそうですが、結局は上下の重なりだけが問題です。1三玉は桂の利き、1二桂は香の利きということで、
1一香が1三玉に影響することはありません。
では次のルール補足
行き所の無い駒
「性能変化により利きが復活しうる位置であれば、一時的に利き所の無い駒の存在も許される」
例えば次の図の5一歩
通常ルールであれば打つことも不成で進むことも行き所の無いということで禁手ですが、
安南では5二の地点に他の種類の駒を打つことによって動くことが可能になるため許されます。
つまり5二角と打てば、5一歩は次に1五角(成)などと動くことが出来るので5一歩打や5一歩生もOKです。
安南では行き所のない駒の禁手はありません。1段目の歩、香、桂、2段目の桂も全てOKです。
二歩禁
次の補足は二歩禁についてですが、
二歩禁について実はややこしい問題が安南にはあります。
避けては通れませんのでここで説明します。ちょっとややこしいですが辛抱して下さい。
次の図を見て下さい。(OFMより)
2五歩は下の2六金の利きになっていますので、1四玉への王手になっているようにみえます。
だけど玉を取った時に1四歩となるのですが、1二歩が存在していて二歩ですね。
はたして2五歩は玉を取ることが出来るのか?また別の言い方をすれば王手なのか?
実にややこしい問題です。
解釈は2つ、
1つは王手はかかっていると見て、2五歩は1四玉を取ることが出来る。OFMでは「利き二歩有効」と言う言葉で説明されています。
つまりこの図が詰上りということになります。
もう一つが、1二歩がある為、1四歩とはいけない。よって玉を取ることは出来ないし、王手はかかっていない。
OFMでは「利き二歩無効」と言う言葉で説明されています。この場合はこの図より1一歩成とした図が詰上りということになります。
ややこしいと言ったのは、この二つの解釈がフェアリー界で現在統一されていないということ。
王手がかかっていると見る解釈 : OFM、FM(通常)
王手はかかていないと見る解釈 : 詰パラフェアリーランド
と現在はなっているようです。どちらかに統一されればと思います。
とりあえず私のところではOFMに準拠して「利き二歩有効」王手はかかっているということで行きたいと思います。
打歩詰
最終手を歩打で詰めるの打歩詰の禁手です。歩が他の駒の利きになっていても関係ありません。
安南のルールは大体以上です。アンチキルケやPWCに比べても分かり易いと思います。
次回からは過去の作例を見ながら手筋を勉強していきます。
では
今日は玉の性能変化についての話
安南(ばか)詰では詰上るときに玉を性能変化させるのが通常です。たまにそうでないものもありますがこれはまた話します。
常識的に考えて玉を弱い駒の上に乗せれば詰み易いわけです。これは当たり前ですね。
実際に安南詰(かしこ)では、桂(たまに歩・香)に乗せる詰上りが多いです。
安南詰の詰上りの王道はこちらです。
呼び名は付いていませんが玉頭銀とでも言いましょうか。
玉の性能は桂になっていますので利きは1四と3四のみですが、2三銀がその両方を抑えながらしかも王手をしているという全く無駄の無い形です。
安南詰であればこの詰上りを頭に入れてこの形になるように手順を考えれば、かなりの作品は解けるという気がします。
余談でありますがこの形での3枚での詰上りの煙詰っていうのも出来るのかな?多分安南詰での煙詰は無かったような気がしますね。
それだけ難しいのでしょう。
しかし安南ばか詰になると、作者もいろいろ考えてきますので、詰み易い安い駒だけではなくいろいろなバリエーションが出てきます。
ではここから玉の性能変化(駒別に)かこの作品を例に勉強して見ましょう。
安い順にまずは歩からいってましょう。短編の安南ばか詰ではかなり少ないです。
詰パラ・1978年11月 左真樹作
安南ばか詰 3手
しばらく考えてみて下さい。3手ですので持駒を打つだけですので簡単です。
初めから親切に歩が置いてあり、安南ということを考えますと必ず玉は2四に行きます。
2四玉の形になった時、玉の利きは2五のみですのでそこを抑える必要があります。
初手2六桂と打ってみると2四玉で全く詰みません。2六香は王手ではないですから。
となると初手は香を打つしかありません。初手香打で2四玉となった時点では2五は抑えられて
いません。むむ!これ詰むのかな?と思っていただければ作者も満足でしょう。
正解は、初手3六香の短打で2四玉に3七桂と2五に地点に利かして桂を打ちます。
えっ?王手で無いって?いえいえ3六香が桂の性能に変化していますので、これで王手です。
2四,2五両方を1手で抑えられて見事に詰みました。(詰上り図参照)
作者はこの時代超大作を連発した伝説の作家です。こんな可愛い作品もあったんですね。
【正解手順】
3六香 2四玉 3七桂 まで 3手
詰上り図
【宿題】
では今日の宿題。過去の作品より
詰パラ・1975年10月 原岡望作
安南ばか詰 3手
では昨日の宿題の解答から
図はこちらでした。
詰パラ・1975年10月 原岡望作
安南ばか詰 3手
まず図をよく見てみましょう。玉は歩の上に乗っていますから現在は歩の利きです。
こりゃ4四馬で簡単に詰んでいるんじゃないの?と思った方・・・よ〜く見て下さい。
そうです3三歩の下には龍がいますね。ということは3三歩は龍の利きを持っているので
4四馬には同歩と取ることができますんですね。玉は弱いけど歩は強力なんです。
4四としても3五王または同歩で3手じゃ詰まない。もう手が無いかと思いきや安南らしい手が
ありました。そう初手5二とです。馬の上に乗っていますのでこの"と"は馬の利きです。
同龍と取らせることによって3三歩もただの歩に戻りましたので4四馬で詰みますね。
正解は、5二と 同龍 4四馬 まで 3手
でした。そっぽに行くような初手が印象的でした。
では次の性能変化は香です。
これも短編安南ばか詰では作例はかなり少ないです。
詰パラ1975年5月 吉村達也作
安南ばか詰 3手
作者名を見て驚いた方もいらっしゃるでしょう。現在は推理小説作家として活躍中、
最近は将棋世界誌にもちょくちょく名前を見受けられますね。
かつては詰将棋作家・担当などで活躍されていた方です。
フェアリー作品も創られていたんですね。
図を見てみますと、おっこれはあの玉頭銀が使えそうと思った方、なかなかいいですよ〜。
1三歩 2二玉 2三銀 まで 3手
いい感じです。でも持駒歩は金にして2二金の方が作品に巾が・・・なんて考えたりして・・・
ん???気付きましたか?そう1二玉は香の利きしかないので2二玉と寄れないんですね。
3手目に歩を打って詰ますと打歩詰ですから初手1三歩は絶対です。2手目同玉は詰みませんので
同桂と取って、あとは銀を打つだけ・・・2三銀で詰み〜と思ったらダメですよ。
1三桂が玉の利きですので同桂と取られて不詰。正解は3手目2一銀です。1二玉の動ける場所は
どこにもありませんのでこれで詰みです。
初心者向けとはいえなかなかいけますね。
詰上り図
次の性能変化はは桂です。
安南詰では数多く出てくる桂の上の玉ですが、さすがに短編安南ばか詰ではほとんど作例がありません。
詰上りが一番見える形ですので作家の方々もこの形を避けるのでしょう。
その中で唯一見つかった作品を今日の宿題としましょう。
例の形にまで持っていく手順がなかなか秀逸です。
詰パラ1990年5月 じゃじゃ丸作
安南ばか詰 5手
では昨日の宿題の解答から
図はこちらでした。
詰パラ1990年5月 じゃじゃ丸作
安南ばか詰 5手
皆さん分かりましたか?
詰上りは7八銀までと見えていますのでそんなに難しくはなかったでしょう。
問題はいかに玉方6九銀の利きを7八から外すかということです。
持駒も銀2枚ですからなかなか普通では上手くいきません。そこでよく見ると、
詰上りには5七角は不用ですので、この角を上手く使うのがポイントです。
正解は、
7八銀 同銀生 6八角 同銀生 7八銀 まで 5手
一度銀を7八の地点に持ってきて玉の利きにするのがポイント。6八角に同銀生と取って
見事に7八の利きが無くなりました。
ところで、じゃじゃ丸って誰のペンネーム何でしょうか?
では次の玉の性能変化は銀です。
玉と多少しか変わらないので短編安南ばか詰では作例はかなり少ないです。
5手以下では見つかりませんでしたので、急遽こしらえた自作です。
たくぼん作
安南ばか詰 3手
まあ玉の下に銀と分かっているので、2手目まではすぐ分かりますね。
3手目にちょっと考えてもらえれば作品として成り立ちます。
正解は、
1三金 同銀 2四角成 まで
銀は横に動けない特徴を生かした詰上りになります。
では次の玉の性能変化は金です。
これも動きが玉に近いので作例は少ないです。
こちらを見てください。
カピタン 41号 4101 じゃじゃ丸作
安南ばか詰 5手
おっいきなり王手が・・・ってもうひっかからないですね。
4六飛は歩の利きですので王手はかかっていません。
初手は桂を打つ1手ですね。28か48か・・・・
28は普通の手で、48に桂を打てば47歩が桂の利きに変わりますので安南らしい手順といえます。
ということで48から打ってみましょう。2五玉と逃げれば次の一手は4五飛しかありませんので不詰。
で2六玉と逃げます。ここで3五歩が好手です。歩がいなくなることで46飛車の利きが復活して王手です。
2五金と逃げて3六飛まで3五歩が飛の利きになり、2五玉は金の利きで1四へ逃げられません。
2四金も歩の利きですので最終手を同金とは取れません。初形の飛車と歩の位置関係が詰上りには
逆になっているというのも面白いですね。
詰上り図
今日は作例がないので宿題はお休みです。
どなたか替わりに創ってくれませんか?
今日は大駒の上に乗っているパターンを見てみます。
玉を強力にして詰めるというのは創作側にとって美味しいのかいくつかの作例があります。
とはいっても短編で言うと生角の上は少ないようで、
とりあえず自分で急拵えです。
たくぼん作
安南ばか詰 5手
いかにも怪しい形をしていますが、手順は至ってかんたんですね。
玉を角の利きにするため角を56から54へ移動させます。
4五金 同角 5四金 同角 5六香 まで 5手
急ごしらえですが楽しく解けると思います。
詰上り玉が何に変化しているかによって詰上りのニュアンスがかなり違うと言うことが
お分かりいただけると思います。
では次は飛です。再び大御所に登場してもらいましょう。
詰パラ1978年11月 左真樹 作
安南ばか詰 5手
玉方は強力でとても詰まないように見えますね。
初手3六金と打てば同角で、これは玉が角の利きになり詰まないですね。
ここでは3六の地点に飛に来てもらわないといけないのですが・・・・
2六銀 同飛 3六金 同飛生 と攻めるとその瞬間3七玉は飛車の利きに変わって
逆王手で失敗です。困ったように思えますが、この手順にヒントがありました。
最後3七玉は飛の利きですので28,48に逃げることが出来てしかも王手になっています。
しかし、28は銀が利いていますし、48王だと2七に逃げられます。
実は飛を3六に持っていく手順に工夫が要りました。
正解は、
2六銀 同銀生 3六金 同飛生 2八玉 まで 5手
詰上り図
連続生を含み、逆王手の応酬あり、詰上りの意外性もあり好作といっていいでしょう。
では最後に傑作を宿題としましょう。
詰パラ1990年5月 中近宗 作
安南ばか詰 5手
これはノーヒントです。これが10分以内で解ければ貴方は安南ばか詰合格の判を頂ける事でしょう。
さて昨日の宿題の答え分かりましたか?
図はこちら
詰パラ1990年5月 中近宗 作
安南ばか詰 5手
私は作者をよく知らないのですがK大系の方でしょうか?
この当時安南ばか詰のみを数作発表されています。
この作品ccelerationさんは30秒とのことですが、この方は大御所ですので参考にしないで下さい(笑)
私は当時、かなり悩んだ記憶があります。
解答を見ていただきましょう。
7四金 8五玉 9六歩 9五玉 7五角 まで 5手
詰上り図
まず4手目がやりにくいこと・・・・玉を龍の利きにして7五角と出るのが一気に勝負を決める大技。
7四金(角の利き)によって歩にヒモが付いています。まさに完璧に龍を仕留めていますね。
実に美しい詰上りです。
両王手
今日からはいろいろな両王手の形を見て行きましょう。
やはり詰将棋の花形は両王手と言ってもいいでしょう。
一気に詰上げる形は解く側も創る側も抑えておきたい手筋です。
普通の両王手は安南でも同じですので説明は省略します。
安南らしい両王手をいくつかご覧頂きましょう。
詰パラ1987年4月 小石広志作
安南ばか詰 5手
初手、3四角と打ち玉が2一玉と逃げます。3三桂は角の利きに変わっていますので、
問題ないですね。ここで1二角生と行くのが両王手となります。3三桂を元の利きに戻しながら
自らも王手を掛ける手ということになります。これが安南特有の手筋です。覚えておきましょう。
その後1一玉と逃げて2一角成まで 5手詰です。生が上手いですね。
両王手と言えば飛と角のパターンがありますが、普通詰将棋では見られないこんな形があります。
詰パラ1986年10月 小石広志作
安南ばか詰 5手
両王手ですから、3七角 1六玉 2六飛 1五玉・・・とやってみたい所ですが、
あと一手では詰まないですね。初手も非限定っぽいし・・・。
ばか詰の解法の一つに「大駒打ちは最遠打か短打」と言う言葉があります?が、
正解は2六角と打ちます。1六玉に2七飛 1五玉。前作と比較してみればよく分かります。
前作の3三桂の役割が2六角、前作の初手3四角が2七飛というわけです。
そして最後は1七飛の両王手となります。見慣れないでしょ〜この形。
詰上り図
玉は1四飛によって飛の利きですのでこれで詰みです。
(筆者注:お詫び 本作は余詰がありました。失礼しました。)
じゃあ普通作では絶対にない形です。跳び駒以外の両王手です。
これはサンプル図で、
初手1三桂成まで
初形で2四金は桂の利きですので王手ではありません。桂が動くことで金が元の利きに戻り、
また桂も成桂になって両王手です。
金気2枚の両王手も出来ますので考えてみて下さい。
ではこのサンプル図に攻方3六角を加えてみればどうでしょうか?
2枚でも詰むので余計なお世話ですが三重王手となります。
どうですまだまだいろいろな技が眠ってるでしょう。
では今日の宿題。
実は、この連載を始めてから、まだ募集もしていないのに作品が送られてきています。
皆さん気が早いですね。(といいつつとても嬉しい)その中から1作を宿題と致します。
作者はフェアリーTOP\作家 北村さんです。
駒がかなり重なっていますので利きを間違えないように・・・・
北村太路作
安南ばか詰 3手
作者コメント:ちょっと無理やり気味です。
さて昨日の宿題は分かりましたか?
解答を・・・と行きたいところですが解答者数が少ないのでもう一日延ばすことにします。
折角ですので解けた方はメールかコメントをお願いします。
前回はいろいろな両王手を見てきましたが、最後に両王手物の傑作を鑑賞してみましょう。
詰パラ1991年7月 中屋敷均 作
安南ばか詰 5手
飛角図式の5手詰です。
ここで少し時間を差し上げますので、手順を考えてみて下さい。
初形では玉は身動きできません。初手はかなり手があります。
7九飛をどこかに移動する手、7六角、5八角、4九馬、5七馬、5八馬、6六馬、5九桂 などです。
貴方の第一感はどの手ですか?
初手の正解は・・・5七馬です。すごく大切そうな馬をいきなり捨てるのですから意表を突きます。
そして2手目は同玉。玉を龍の利きにしてしまうのですからこれまた驚きです。狙いは1つです。
しかしここから3手で詰むのですからビックリしますね。
3手目は効率の悪そうな場所に桂を打ちます。6九桂 。
ここで玉は龍の利きですので5九玉と入ります。ここでもあと一手で詰むなんて予想しにくいですね。
ラストは7七桂と跳ねて詰上りです。
詰上り図
7八角も飛の利きです。あれ?6九に合駒が利くんじゃ?と思った方もいるでしょう。
実は7七桂が角の利きで両王手なんですね。いろんな形があるものです。
5手の全てが好手で詰上りも見事です。過去の作品の中でも光り輝く作品です。
さてでは一昨日の宿題の解答です。
北村太路作
安南ばか詰 3手
両王手の講座での宿題でしたので、大体予想は出来たと思いますが、
多重王手が狙いの作品です。
では皆さんと一緒に考えてみましょう。
3手目が香打までというのは作品的に面白くないので、初手香打は間違いないでしょう。
では仮に"跳び駒には最遠打か短打"の法則により4九香と打ってみましょう。
2手目合駒では5筋方面に逃げられますので、3二玉です。いかにも詰みそうですね。
解途中図
解途中図を見ますと、玉は飛の性能になっています。
2二とは桂の動きですので動かせませんので、考えられる手は3四飛と2三桂の移動ですが、
3四飛は同玉と取られてアウト。では2三桂をどこに動かせばいいか・・・です。
2三桂が移動すれば、2二と、1四角が王手になりますし、桂も3三か4三で成れば王手になりますので、
3重王手と言うことになりますね。どうもこれが本筋のようです。
しかし玉が飛の性能の為、右辺への動きが抑えられません。はて・・・
そこで初手が問題でした。大体非限定っぽい4九香なんて限定できるわけないですよね。
4八や4七との違いを3手でなんて無理に決まってます。(あるとすれば4五地点かな)
右辺脱出を抑える初手・・・そうです。初手4二香の短打。はやり法則は生きています。
解途中図2
これで桂を動かして3三と4二を抑えれば詰みますね。最終手は4三桂成です。
これで3重王手・・・・いやいやよく見てください(小五郎さん)
初手打った4二香も成桂の性能に変化していますね。
そうです。4重王手なんですね。私の知るとことでは多分安南ばか詰史上初ではないかと思います。
北村さん、またまたやってくれました。
講座と宿題が見事にリンクしていると皆さんに感心いただきましたが、これは全くの偶然です。
原稿はすでに準備しているところに偶然投稿があったのでした。奇跡的な以心伝心とでもいいましょうか。
正解手順は、
4二香 3二玉 4三桂成 までの 3手です。
詰上り図
ここまで玉をいじめるか!という詰上りですね(笑)
それでは作者のコメントです。
「作品の狙いは『四重王手』です。しかし思いつきやすそうなテーマなので
もしかしたら過去にあるかもなぁ、と思いながら創りました。
王手の種類は性能が戻る、空き王手、性能が下の駒に変化、そして自分自身で4種類
です。
安南では四重王手が最大でしょうか。
ただ、必要駒ではあるのですが、実は王手をかける必要のない駒がある、というか
実は王手を直接かけるのは1種でいい、というのは大変なマイナスです。
(詰上図で、4二香が受方桂、2二とが攻方桂、1四角が2七に移動、していても詰
んでいる。)
攻方3六歩も無造作ですね。。。
受方6四歩は4三桂成2三合4二香防ぎですが見栄えが悪い。
初手香短打がわかりやすいとはいえ少しはプラスになってくれるかな、と思いまし
た。」
では、解答者の声を聞いてみましょう。解答期間が短かったので解答者が少なかったのが残念です。
隅の老人B「最後は幾つ王手がかかっているのかな。」
真T「3重王手かと思ったら、4重王手!
(最初なぜか24の飛でも王手がかかっていて5重王手かと思ったのは内緒です。)
すごいですね。重複王手(?)もここまでくると何がなんだか分かりません。」
理論的は4重王手が最多ということになりますが、詰上りに玉の性能を何にするかでいろいろな形が
ありそうです。皆さんも是非創ってみて下さい。
今回は、安南ばか詰、玉のダイナミックな動きを楽しんでいただきましょう。
玉の性能が変化するということで、普通詰将棋とは異なり跳び駒に乗ったときには、
アッと驚く動きをしてくれます。
見慣れない動きですので慣れるまでには時間がかかるかもしれません。
では1つ目の作例は、
詰パラ1991年9月 日本の水谷氏作
安南ばか詰 5手
チョット見ると簡素な形ですが、守りが強力でなかなか詰ますのは大変そうで、
左下で詰まそうとすると苦労します。持駒3枚の5手ですので、持駒連打でいいはず。
ここでは発想の転換が必要です。
初手は、1二角と打ちます。2三ではダメなところは最後になれば分かります。
玉方は9九玉と逃げ玉を強力な馬の性能にするのがポイントです。
そして3手目に狙いの一手・1一銀です。これに気付くことができるか・・・
同玉(玉は馬の利き)と取らせて最後1三銀と打って詰みました。
左下で詰ますと見せかけて右上に引っ張り出す意外性が成功の因ですね。
右上に駒がナイのが当然とはいえうまい。
この玉のダイナミックな動きは普通のばか詰では味わえないものですね。
続いては、最近の作品から
詰パラ2004年8月 勇者ロト作
安南ばか詰 5手
ちょっとごたごたした感じですので、各駒の利きをしっかり確認することが大切です。
玉の動ける箇所は、13.14.33の地点だけです。
短編ばか詰を解くコツの1つのポイントで、安南らしさを考えれば大駒の上に乗せるという
ことも考えてみるのがいいでしょう。たとえば本作なら2三龍の形にするとか、3三玉の形に
するとかです。
本作はやや難解ですので、手順を言います。
初手は2八飛です。この限定打が最後に利いてきます。
2手目は3三玉(やっぱり)。
そして3手目がポイント8九銀です。まあ角の上に乗っていますので飛んでもらいたいところではあります。
そして玉も9九玉(いや〜めまぐるしいですね)
そしてラストは8八飛。見事に初手からラストに見事に1本の糸につながりました。
きっとこう言う作品を創ると、幸せが来るのでしょうね。
短編でこれだけ駒が跳びまわれば、なかなか頭の中で解くのは難しいかもしれません。
私もそうですが、やはり慣れなんでしょうねえ。
しかし面白い手筋はまだまだ埋もれていそうです。
そんな作品がこれを機会にどんどん発表されて欲しい気がします。
もうネタがなくなったので今回が最後です。
最後は実力試験ということで、
過去の名作を考えて頂きましょう。
実力試験
詰パラ1990年9月 フェアリーランド短編コンクール
神無太郎作 安南ばか詰 5手
短編コンクールで評点3点満点を取った傑作。
目をよく凝らしてお考え下さい。