第3回・PWCばか詰作品展
解説編
新緑の緑が目に映える季節になりましたね。
今回より単独開催になりました第3回PWCばか詰作品展ですが9名の方より解答を頂きました。ありがとうございました。 私もまだまだルールに慣れない所がありますが、多分そのような方々もたくさんいらっしゃると思います。そんな方にも分かるような解説をしていきたいと思うのですが、なかなか難しいですね。それでは解説編のスタートです。 第3回PWCばか詰作品展 開催日 : 2006年4月15日(土) 【PWCばか詰ルール説明】 1.取られた駒は(2.の例外を除き)取った駒が元あった場所に復元する。 2.二歩及び行き所の無い駒の禁に触れる場合は、復元せずに持駒になる 3.成駒は成ったままで復元する 4.成れる位置に復元した場合、成不成の選択は行えない (2005年9月5日に掲示板でクロ氏が提案されたルール設定に準じています) ・表記法は駒を取った場合・・・○○駒(駒取り)/●●駒(←取られた駒の復元)とします。 簡単な参考として”たくぼんの解図日記”の2005年11月25〜27日付け:「PWCばか詰めについて考える」をご覧下さい 【注意】 スペースの関係で敬称は略させていただいております。ご了承下さい。 なおこの出題は「正式発表」扱いとしFairy Top\の対象です。 今回もPDF版を作成しております(B5印刷)ご利用下さい。 第3回PWCばか詰作品展解説編・PDF版 PWC1 吉川慎耶 作 (初登場) PWCばか詰 5手
【詰手順】
14銀 22玉 13銀生 11玉 22銀生 迄 5手詰 【投稿時の作者コメント】 物事はチャレンジが大事。ということで作ってみました。 【解説(のようなもの)】 本作は作者のPWC初挑戦作です。新しいことに挑戦することは本当に素晴らしいことですね。私も見習わないといけません。手順はとても分かり易くPWCを理解する第1歩と言っていいでしょう。交換部分がないのでPWCらしくないといった意見もありますが、最終手で詰んでいることを理解するのがPWC入門の第一歩と思いますので、これはこれでいいのではないでしょうか?1番バッターの役目充分でした。最後成ると同玉/11全で不詰です、生ならそれが出来ません。 なお53王が無いと3手目から23銀/14角 11玉 12銀成/23飛 まで余詰んでしまいます。橋本案では12飛を龍にすれば53王は省けますが、オール生駒+王を取るか成駒入り飛角図式を取るかは悩ましいところです。 * 橋本孝治 「飛角を入替えて23成銀までの詰型を想定し苦戦しました。入替えない、連続不成の追い手順は意表を突きます。ただ、双玉配置は疑問。私なら紛れが減っても、12を龍にして攻方王を省きます。」 バランスを考えて飛車2枚を龍にというのもあるかもしれません 若林 「収束が見えたので一目。でもPWCらしくないって言われちゃうかな。私はこういうのも好きです。B」 初心者にはこれで詰んでいるというのもビックリですね 隅の老人B 「口開けに最適。詰上がりは空気投げ、いや一騎当千かな。」 語学力に乏しいので思わず広辞苑を引いちゃいました。 一騎当千:一騎で千人の敵を相手にすることができるほど強いこと 太郎@神無一族 「チャレンジ精神は買うが、作意にはルールの特徴を出して欲しい。」 小峰耕希 「双玉飛角図式+連続銀不成の豪華な肩書きを持つが、手順自体は意外にあっさり。」 あっさりがいいと思います もず 「成ると詰まない。駒を取ると詰まない。うまくできてますね。」 北村太路 「作意でPWCを出さず、紛れと詰上がりに出すあたりが渋い!守備陣も生の大駒4枚で見ばえが良いです。」 伊達 悠 「トップバッターにふさわしい、駒取り無しのPWC。」 駒を交換するだけがPWCの特徴でないと私は思っています。攻駒1枚でも詰むというのも大きな特徴の1つではないでしょうか?(まあ他に対面の頭桂などもありますが・・・) PWC2 若林 作 (登場2回) PWCばか詰 7手
【詰手順】
28金/19銀 同銀成/19金 同金/19全 同金/29金 18金/29銀 同全/19金 28金/19金 迄 7手詰 【投稿時の作者コメント】 七郎氏の長編の収束に似すぎているか? 【解説(のようなもの)】 PWCの手筋に”成らせ”手筋というものがあります。生駒のままだと局面が動かないので玉方の駒を成らせて局面を打開する手筋です。本作はその手筋を利用した作品です。1手目2手目が”成らせ”手筋です。最終手28金で詰ますには19、29の玉方の駒が28の地点に利きが無くなる様駒を移動させないといけません。その実現が本作のポイントです。 ただ解答者から指摘があるように配置には改良の余地があったようです。 * 橋本孝治 「単純に見える「成らせ」ですが、結構いろいろ紛れがありますね。ただ、配置については密集形にこだわらずに、簡潔さを優先した方が良いと思います。例えば左右を入替えて下図のようにするのはどうでしょう?」 かなりすっきりしましたね。参考にして下さい。 若林 「うーん。やっぱり収束を抽出しました感がぬぐえませんねえ。C」 隅の老人B 「成らせて戻すのは、PWCの好手。覚えておきます。」 ”成らせ”は局面打開の手筋・・・PWC解法その1ですね 太郎@神無一族 「存在を主張するため+αが欲しい。」 おっしゃることはよく分かります(笑)そこが難しい 小峰耕希 「先に伊達君の作品が解けていて、同じ7手密集形なら何とかなるだろうと手を付けたら、すんなり解けました。要は玉と隣接する守備駒でしか取れないように持っていくのがポイント。」 そうです。いいところに気付きました。 ”玉と1間開いた守備駒の利きを外せ”・・・解法その2 ※ただし王手駒が金の場合は斜め前方からは不可 みたいな もず 「繰り替えは面白いですが、17金はともかく37香と36歩が不要なのはちょっと。」 北村太路 「うーん、成らせもそろそろ見慣れてきた頃ですし、新味もあまりなく正直言ってよろしくない感じです。七郎さんのとも似ているということだそうで、うーん。」 もう見慣れたんですね。時に流れは早いです 伊達 悠 「いい感じ。銀3枚の好作(前のPWCの作品展で)と比べるとインパクトに欠けている感はありますが。」 PWC3 伊達 悠 作 (初登場) PWCばか詰 7手
【詰手順】
42馬/53銀 同金/43馬 52馬/43銀 同銀右/63馬 62馬/63銀 同銀/53馬 42馬/53金 迄 7手詰 【投稿時の作者コメント】 解答を書くのに苦労する、ということだけがとりえかも。 【解説(のようなもの)】 これは私でもすぐに解けました。形から玉は動かないと分かるので、駒を動かせていけば解ける作品です。入門編には最適といえるでしょう。しかし私は暗算では解けません。頭の中で交換後の配置がごちゃごちゃになるんですね。PWCが苦手な人はこう言った所に原因があるのかもしれません。 * 橋本孝治 「動かしていけば自然に解ける、解答者にとってはありがたい作。問題数が多いと、こういう作も必要です。ただ、この初形は「途中図」という感じ。63銀と53馬を入替えて9手詰とすべきだと思います。」 これはありでしたね。伊達悠作品集には是非9手で・・・・ 若林 「私なら飛は金にするかな。B」 これもありだったかも。伊達悠作品集には是非金で・・・・(どっちやねん)→両方か 隅の老人B 「慣れると簡単。ゴジャゴジャと動かしたら、詰んでいた。」 私と同じです 太郎@神無一族 「7番の前座? 悪くはない。」 太郎さんの褒評は作者にとっては宝物です。 小峰耕希 「ポイントは前局の若林さんの作品と基本的に同じなんですが、成らせが入っていない分損かも知れませんね。本サイトからのデビュー順に“KKD”(と勝手に命名)の内、吉川君と伊達君が今月PWCで初登場という事は、作家として不参加なのは僕だけになってしまいましたね。何か作ろうかな…。」 お〜KDDじゃなかったKKDですか新しいユニットで売り出せそうだ。これ頂きます。私なんかはYKK(小泉・加藤と後誰だったかな?)を思い出します。 もず 「手の選択肢はほとんどないので楽に解けますが、何だか不思議な味です。単にPWCを解くのが不慣れということかもしれません。」 私も同じ感覚を持っています。頭の中で解けないというのが問題だと思います。 北村太路 「4筋で詰ませたいのに一度6筋まで行かないと詰まないのが面白いですね。もっと左とか右とか出てきて解答が書きにくいかと思っていたので、解答を書くのは思ったより楽でした。」 書いた手順を見ても全然が頭の中で駒が動きません・・・(悲) 伊達 悠 「馬が4〜6筋までまんべんなく動いていくのが唯一の長所でしょうか。」 だれもそのことには触れていない・・・ PWC4 若林 作 (登場3回) PWCばか詰 9手
【詰手順】
57銀/68銀 45玉 46銀上/57銀 34玉/45桂 26桂 43玉 44銀 同玉/43銀 54銀成 迄 9手詰 【投稿時の作者コメント】 16角は余詰消し。予定通りのの手順を採りました。 【解説(のようなもの)】 解答者の声が全てを現しているが、狙いがはっきり分からないうのが致命的でした。不要駒の銀2枚の存在も輪をかけました。見た目はPWCらしい手順なのですが、必要ないとは私も気付きませんでした。(すいません)作者には次回頑張ってもらいましょう。 * 橋本孝治 「初形を見たときは難しそうなイメージがありましたが、初手57銀と67銀の比較をしたら割とすんなりと作意に入れました。ただ、これも配置に難が…。57銀と46銀の2枚は省けますし、16角と21香の2枚も32龍1枚で済みます。何か隠れた狙いでもあるのでしょうか?」 どうもないようです。作者も謝っています。私も謝ります。(その辺チェックしていない) 若林 「受方銀が両方不要駒でした。申し訳ないです。C」 です。 隅の老人B 「玉方の2枚の銀の役目はなんだろう?」 すいません。・・・だそうです。 太郎@神無一族 「主張が伝わらない。」 狙いがはっきりしないと言う点もありますか・・・ 北村太路 「ぱっと見どう詰めていいかわからない。面倒くさそう。その面倒くさい部分を取ったときに何が残っているのか?多分好みの問題で、自分は難解さを求めていないので、こういう図は好きじゃないんだと思います。(FM使用)」 多分私のばか詰は北村さんに好かれてないと思います。 伊達 悠 「適度に駒取り。こんな中途半端さが一番難しいです。」 同感です。 PWC5 北村太路 作 (登場4回) PWCばか詰 15手
【詰手順】
19香 17玉/18桂 26桂 18香 同香 27玉 28香 26玉/27桂35桂 15玉/26桂 24桂 同玉/15桂 34桂 13玉/24桂 23桂右成 迄 15手詰 【解説(のようなもの)】 趣向作のようで不規則な桂跳ねと香合が入っていてさにあらず。しかし趣向作みたいな作品。どんどん桂を跳ねて行きたい所だけに4手目の香合は盲点となって、解答者は苦労されたようです。最終手は両王手が決まってきれいに締めくくりました。派生作としてはこれはこれで1局でしょう。 * 橋本孝治 「初形から趣向作を期待したのですが、あるいは趣向作の派生作?手順自体は適度に難しくて面白いと思います。」 橋本さんが適度に難しいと言われるんですからかなり難易度は高かったようです。 若林 「邪魔な桂をどんどん退けていけば良い、という気持ちの良い手順だが、その手順の手前の香入手が盲点。B」 隅の老人B 「香合に気づかず、苦戦。終わってみれば、玉と桂の楽しい鬼ごっこ。」 太郎@神無一族 「もう少し敷衍して欲しい。」 これも広辞苑のお世話に・・・ 敷衍(ふえん):のべ広げること。展開。 う〜む勉強になる・・・>伊達君 試験には出ないでしょう 北村太路 「これはPWC9の右側の紛れ筋をFMに指摘されて、香筋を通すのに桂を跳ねるというのが面白そうと思って、攻方:1四〜1七桂、受方:1八玉、持駒香でFMに調べてもらったら、これまた面白そうな順をFMが教えてくれましたので、余詰になる部分を削れるように調整しました。・・・ということは、これはFM使用解答?桂もそこそこ跳ねれて、最後は両王手で締めてくれるところなど、FMの方が自分で作るものよりもよほど面白い手順を作ってくれます。」 なるほどなるほど 伊達 悠 「いうこと無し。10日間悩んで発見した1八香合は光って見えました。」 趣向っぽい手順より皆さん香合に言及しているということは・・・何か複雑? PWC6 北村太路 作 (登場5回) PWCばか詰 15手
【詰手順】
59香 57玉/58桂 46桂 56玉/57桂 65桂 55玉/56桂 64桂 同玉/55桂 63桂成 74玉 73圭 同香/71圭 同桂成/65香 64玉 74圭 まで 15手詰 【解説(のようなもの)】 桂は右、左、左と跳ねて行きます。これが当然のことながら限定されているのが好評でした。特に最初の右はそっぽ感があっていい感じです。左に跳べば10手目に7四玉が桂が利いているので出来ないので15手で詰まないということです。 収束は短編のような味で香がどんどん進んでいく姿がユーモラスでもありました。 * 橋本孝治 「前問よりこちらの方がすっきりしていて好み。香の2段跳の収束も面白い。誰か、PWCで桂以外の駒を4段跳させてください。」 もずさんか北村さんか若林さんが実現しそうです 若林 「せっかくだから54まで玉には向かっていただきたかった。それでもこの形で桂の飛ぶ方向3回が限定されているのはお見事。B」 なんだか途中下車しているみたいにも見えますね 隅の老人B 「3手目の46桂が妙手。伏線は、さりげなく、ですね。」 趣向であれば同じ方向に飛びたいのは解答者の心理ですね。人が創ればそうなるかもしれませんがFMの見つけた解だそうですので・・・ 太郎@神無一族 「もう少し敷衍して欲しい。」 もず 「一見したところは3度の桂跳ねが左右で限定されるとは思えませんでした。73の駒交換(ではなくて何というのでしょう)で手順前後が利かないのはPWCならではですね。」 北村太路 「PWC5を真ん中に置いたらどうなるかなぁ・・・と置いてみたら、またFMがこんな手順を見つけてくれました。当初は左右対称形だったのですが、”キルケ系は左右対称手順は余詰だなぁ”とか思って左右非対称にしてみました。PWCのCはCirceのCですから。(飛、角の復活位置とかないから、左右対称でも余詰じゃない筈だけど)攻方がいる右側より受方がいる左側の方が詰むとか、最初にそっぽの方に跳ぶ桂とかが面白いと思って送ってしまいましたが、鶏肋か蛇足か、今思うと要らなかった気がします。これもFM解答と言った方がいいですか。」 PWCの左右対称形は余詰にならないと思います。 伊達 悠 「桂馬がてんでばらばらの方向に飛んでいって悩みました。唯一解も桂馬の位置がバラバラ。はい、北村さんの作品集の表紙は完成。」 いやいやもっといいのはたくさんあります。(多分) PWC7 伊達 悠 作 (登場2回) PWCばか詰 21手
【詰手順】
22龍/33馬 同金右/32龍 23龍/32銀 同馬寄/33龍 24龍/33馬 同飛/34龍 23龍/34馬 同銀/32龍 22龍/32金 同馬/33龍 23龍/33銀 同金右/32龍 22龍/32馬 同銀引/33龍 24龍/33飛 同馬/34龍 23龍/34金 同飛/33龍 22龍/33銀 同馬/32龍 23龍/32飛 迄 21手詰 【解説(のようなもの)】 PWCの密集形で攻方が龍や馬1枚のものは玉が不動で詰上る。解くときの考え方は最終手が23龍と考えると、23の地点に32、34の駒の利きが無く、交換で33に移動する駒の利きが23に無い形を作ること。と考えると32飛・34金・23銀型を作るように攻めればいいことになります。34飛は24→23→32のルートで動き32金は(22)23→34と動きそう。あとはそれを頭に入れてひたすら駒を動かす・・・(変な解説だ) ちなみに私はチャレンジ2回目で正解を動かしました。宝くじに当たった見たいなもんですが・・。PWCの難しさは手順が頭の中で組み立て難いこと、覚え難いこと。たとえば、一度駒を動かして21手を越えてしまい、異なる手順で考えようとしてもあれ?今の手順はどうやったんだ?ってなっちゃう(私だけか?) 本作品は解答者からは好評で入替パズルものとしては出色の出来でした。3番といい本作といい伊達君の新たな一面を見させていただきました。今後が楽しみです。 多分今後このパターンの作品も多く登場するような気がします。 * 橋本孝治 「これは悩みました。初形から飛と金を入れ替えれば23龍の1手詰なので、その形を作ろうとしたのですが、どうしても25手掛かってしまいます。あてもなく駒の入れ替えを繰り返すうち、ふと詰上り図に短絡できる形を見つけ、逆算と組み合わせて何とか解くことができました。巧妙なパズル作で、今回の収穫のひとつだと思います。 ただ、この構想をもっと端的に表すなら、やはり初形から飛と金を入れ替えた局面を経由して、詰上るようにするの本筋だとも思います。例えば下図のように24馬を銀にすれば、それが実現できます。」 PWCばか詰 29手 23龍/33銀 同金右/32龍 22龍/32馬 同銀引/33龍 24龍/33銀 同飛/34龍 23龍/34金 同馬/32龍 22龍/32銀 同銀引/33龍 23龍/33馬 同銀右/32龍 22龍/32銀 同馬/33龍 23龍/33銀 同銀/32龍 22龍/32馬 同銀引/33龍 24龍/33飛 同金右/34龍 23龍/34銀 同飛/33龍 22龍/33銀 同馬/32龍 23龍/32飛 同銀/34龍 24龍/34金 同銀右上/33龍 23龍/33銀 まで 29手 作品としてみればこれが完成品でしょう。32金と34飛の入替が目的であれば最終手の1手前にその図を出現させる。それが24馬→銀で実現できたとなると納得です。 若林 「金と飛のexchange。密室単騎ものでは完成品かと。良いです。A」 隅の老人B 「密室殺人事件、解く鍵は?。暇に任せて、ただ、ひたすらに駒を動かす。」 ”ひたすら駒を動かす”・・・PWC解法3ですね 太郎@神無一族 「しつこさがいい。」 またまた褒めています。本当にいい作品でした。 北村太路 「いやー、問題図を見て、飛と金を入れ替えると詰む。というかそれ以外の詰上がりは思いつかない、という感じでしたが、どうやってもうまく手順を繋げることができずギブアップ。入れ替えるコツがどうしてもわかりませんでした。頭が混乱しました。FMに答えを教えてもらっても、自力では何故かうまく並び替えれません。2個の駒を入れ替えたいだけなのに手数を21手かかるし、本当にうまいことできている図ですね。脱帽です。(FM使用)」 伊達 悠 「"/M9”と打ち込んでから解析してみましたか?一瞬にして解いていました(笑)。」 人間は苦しむ動物である PWC8 北村太路 作 (登場6回) PWCばか詰 23手
【詰手順】
29歩 38玉 39歩 48玉 49歩 58玉 59歩 69玉 78角 同角生/96角 99飛 59玉/69歩 68歩 49玉/59歩 58歩 39玉/49歩 48歩 29玉/39歩 38歩19玉/29香28香 29金 同飛/99金 迄 23手詰 【解説(のようなもの)】 ばか詰でよく見る趣向をPWCで実現の本作。横からの飛車の王手に対して駒を取りながらの玉の横滑りの受け方はたまに見かけますが、それを見事な送り趣向で魅せてくれました。2手で出来るところがPWC特有です、PWCルールですからPWC特有の趣向というのがやっぱり解答者の心に突き刺さります。また収束も短く簡潔に纏められており作品が締まりました。解答者からは絶賛です。 ただ配置に関してはいくつか不満の声もありました。見た目がやや煩雑な点と趣向手順の軽快さがミスマッチの感が無きにしも非ずですか・・・。 PWCでも新たなる手筋をどんどん開発される北村さんには今後益々の新手筋発表を期待しましょう。お願いします。 * 橋本孝治 「普通のばか詰なら1歩消費の4手サイクルの趣向になるところが、PWCだと2手サイクルになるのですね。収束も最短のまとめ。僻地に飛ばされる金がなんだか不憫ですね。あと、駒配置はもう少しなんとかして欲しいのですが、どうなんでしょう?」 僻地に飛ばされる金を見てわが身とオーバーラップする人が・・・いないか 若林 「PWCならではの連取り趣向。逆王手を利用した限定も良いスパイスです。いつもながら新趣向の提示がお見事。A」 逆王手を利用した限定とは最後の金合のこと。銀だと99に交換されたとき王手になってしまいます。 隅の老人B 「黄金週間の一泊旅行。易しく楽しく、これが一番。」 太郎@神無一族 「爽やかな表現が好感。でも中段はもう少し整理できないものか。少なくとも55金は不要。」 もず 「歩を連打して歩を突いての往復が面白い趣向でした。最後の金合で完全になっているのが意表を突かれます。」 北村太路 「"新しいルールを見たら送り趣向を作れ"と誰かが言っていたような記憶があります。ということで今回一番最初に作りました。歩を並べてから、位置交換した歩を突いて空き王手に出来るのに気がついて、おお、これはいいぞー、と思ったのですが、なかなか舞台が作れず苦労しました。壁が余詰消しのために妖しげな模様になって、ちょっとなぁ。1筋から始めたかったのですが、収束がうまくつくれず、たったの4列に。。。いろいろやっているうちについた金限定合いのオマケはちょっと儲かったかな。角も受方持駒に余ってたら良かったのですが。」 最後の金合は確かに儲かった感がありますね。 伊達 悠 「最後の2手が入ったとたん、趣向作から突然名作に?」 最後が締まると作品も締まるということですね。 PWC9 北村太路 作 (登場7回) PWCばか詰 43手
【詰手順】
18桂 37玉 39香 38香 同香 47玉 49香 48香 同香 57玉 59香 58香 同香 67玉 69香 68歩 同香 76玉 77歩 65玉 66香/68と 55玉 56香/58と 45玉 46香/48と 35玉 36香 24玉 16桂 33玉 34香/36歩 43玉/33歩 44香/46歩 53玉 54香/56歩 63玉 64香/66桂 72玉 63香成 61玉 72杏 51玉 52香成/54銀 迄 43手詰 【解説(のようなもの)】 北村と言えばやはり"槍襖"ですね。しかし本作は"槍襖”を越えて突き破って進む軽快趣向です。PWCの新しい趣向をどんどん開拓する北村さんの会心作です。 序はPWCでは珍しく香を合駒で入手していきます。この手順が入ったのは大きいですね。その後玉を左右に追いながら6段目4段目と香を突き刺していきます。この手順は解けなかった人も是非盤に並べて(いやfmviewのほうがいいかも)見てください。普通詰将棋やばか詰では見られないPWC特有の手順です。PWCは飛び駒以外では地味な手順の印象がありますが、飛び駒を利用することによって新たなる手筋がもっともっと隠れているのではないでしょうか? * 橋本孝治 「"北村"と言えば"槍襖"と言うわけではないでしょうが、"槍襖"を彷彿とさせる趣向。こちらは香が突進して直接王手を掛けるので、豪快さを感じます。最終手も香の突進で締めて、納得できるできばえです。」 本当に納得できる出来栄えでしょう。初手がいるかどうかは微妙かも・・・ 若林 「はは、凄いですねこれ。良く成立したものです。PWC版槍襖と言うのか。発想力と共に乾杯。A+」 隅の老人B 「趣向を創って、収束を加える。こんな創作手順かな?」 太郎@神無一族 「しつこさがいい。」 もず 「槍衾が壁を突き破っていくんですね。普通の詰将棋では持駒を消費し切れなさそうですが、PWCなら問題なし。収束で苦しみましたが解けてみると素直な手順でした。」 ふすまって”襖”と”衾”と2つ漢字があるんですね。 本当に槍で襖を突いている感じが本家”槍襖”より出ているのではないでしょうか 北村太路 「最初はPWC8の持駒歩が4枚だったので単純に香に変えて、全然ダメでした。作り始めは6段目に香を並べて追って、4段目の駒と交換して追って詰むくらいの一往復のものだったのですが、そのうち、9段目に香を打って、8段目に香を合駒させればいいことに気づきました。4段目までいけたので、2段目との交換ももくろみましたが、2段目は成れて、2段目成駒は強力すぎて、ここでギブアップしました。最後に序が味気なかったので、つけようとしましたがろくにつかなかったのですが、香を使って右側でやりとりすると面白い紛れがあり、この図には全くいらなかったのですが、気に入ったので残してしまいました。(しかし、結局我慢できずにPWC5に行ってしまったわけで、それならばこの図からは削除するべきだったか。)ちなみに香で香合駒を取って香を並べるのはどこかで見たことがあるような気がするんですけど、どこかにありましたか?」 作図の経緯はすごく参考になりますね。香で香合する作品なら橘さんの未完成アンチキルケ打歩ばか詰かな?でも香は並ばないですね。 伊達 悠 「すいません。FMを使う暇がないので無解です。」 PWC10 太郎@神無一族 作 (登場2回) PWCばか詰 119手
【詰手順】
29金/28飛 同飛成/28金 同金/28龍 同と寄/39金 28銀/37龍 同角成/17銀 同銀/17馬 同龍/37銀 29金/39と 同龍/28金 18金/28と 同馬/17金 28銀/37と 同龍/29銀 18金/17馬 29玉/19銀 28金/18龍 同と寄/38金 39金/38と 同桂左成/27金 28金/27と 同と寄/38金 18銀/19龍 同と上/27銀 28金/38と 同と左/18金 38銀/27と 同銀成/49銀 同銀/49全 同圭/39銀 19金/18龍 39玉/29銀 28銀/29と 同と右/37銀 48銀/37と 同全/49銀 29金/19と 49玉/39銀 38銀/39圭 同と左上/27銀 39金/29圭 同桂成/47金 48金/47全 同と右/58金 38銀/27と 同全/47銀 48金/58と 同全/38金 58銀/47と 同角成/69銀 同銀/69馬 同と引/59銀 48金/38全 59玉/49銀 58金/48と 同歩成/57金 同金/57と 同と右/68金 48銀/49と 同と右上/57銀 58金/68と 同と左寄/48金 68銀/57と 同馬/69銀 58金/48と 69玉/59銀 68金/58馬 同歩成/67金 同金/67と 同と寄/78金 58銀/59馬 同と右上/67銀 68金/78と 同と左寄/58金 78銀/67と 同と引/79銀 68金/58と 79玉/69銀 78金/68と 同歩成/77金 同金/77と 同飛成/88金 68銀/69と 同と右/77銀 78金/88龍 同と寄/68金 88銀/77龍 同と引/89銀 78金/68と 89玉/79銀 88金/78と 同歩成/87金 同金/87と 同と右/98金 99金/98銀 79玉/89銀 88銀/89と 同龍/77銀 89金/99と 同龍/88金 78金/88と 同と左寄/68金 88銀/77と 同龍/89銀 69金/68と 89玉/79銀 78銀/79と 同と右/87銀 98銀/87銀 同と/99銀 79金/69と 99玉/89銀 98金/97と 同銀生/87金 88銀/89龍 同と右/97銀 89金/79龍 同と直/88金 98金/88銀 迄 119手詰 【投稿時の作者コメント】 ご覧の通り、七郎さんの作(PWC小作例集1)の改造版。8ビートのロックンロールに変拍子を入れまくり、思いっきりプログレにしてみました。初形も矩形になり、プログレ的様式美も備えられたつもりです。 【解説(のようなもの)】 本作は神無七郎作(PWC小作例集1・下図参照)に触発されて創作されたとのこと。 神無七郎作 PWCばか詰 69手 この作品も傑作と言っていいほどの作品です。金銀3枚を使って8手1組で左辺に追っていく趣向作です。まだ解いていない方は是非盤に並べてみて下さい。 そしてこの図をさらに発展させたのが本作です。 どのように発展させたのか?作者に聞いてみました。 ・七郎作は金金銀のコンビネーションで玉を運ぶ ・もっと少ない駒で運べないか ・試行錯誤で金銀で運べることを発見 ・収束用にもう1枚の金と受方銀が必要なので左辺に配しておく ・序が長くなるような金銀配置を試行錯誤で決定 ・と金(杏、圭も)を生駒に置き換えると、(生駒のままでは自由度が少なく詰みにくいはずなので) 成らせる手順が必要になるはず。 結果的に手順が複雑になり、手数も伸び、プログレになるだろう ・後は自分の感性を信じ、ひたすら生駒の埋め込み/完全性の確認作業を繰り返す こうして出題図にたどり着いたのでした。 手順は金と銀を使い玉を詰まし易い9筋に運ぶのですが、七郎作ではと金だけだったのでリズミカルな8手1組の手順で追えました。しかし本作はところどころに配置されている生駒が送り手順の邪魔に成る為、その生駒を成らし成駒にする手順が必要となります。またその生駒がいろいろな種類ある為、手順も規則正しい手順とはならず解答者泣かせの不規則手順となっています。 口で言うのは簡単ですが生駒を配置して左辺に送る為に成らせを巧みに組み入れ手順を構築するのは並大抵では出来ないでしょう。成らせ駒も飛角銀桂歩(香がない)と種類が多い為、手順も作者の言う”変拍子を入れまくり”状態となり正解にたどり着くのはこれも並大抵のことではありません。そんな中、唯一自力で正解にたどり着いたのが隅の老人Bさんです。1回6手オーバーで解答が届き・・・ヒント(○手目〜が違いますよ・・だけ)の後正解を入れられました。これは頭が下がります。パチパチ 本作ははっきり言って傑作です。しかし本作のすごさをどれだけの方が理解できるのか?私自身実際に解図していないので多分30%も理解できていないはずです。本作のすごさは今後日に日に分かってくるそんな気がしてしょうがありません。 * 橋本孝治 「この作、前に太郎さんに見せてもらっていたので、感想だけ送ります。この作はPWC小作例集1の発展形と言える作ですが、7段目の駒を成らせるという発想がまず素晴らしい。更にメイン趣向部以外にも多種の駒の「成らせ」が織り込まれ、この初形と共に相当練り込まれた作であることを示していると思います。今回の作品でも飛び抜けた傑作で、TopIXの有力候補ですね。」 感想だけでも助かります。 若林 「元ネタがあるので詰むことは詰む。だがしかしそこからが大変だ。多分銀以外が全部成ると思うのだけれど。そこに破調があったら完敗。」 49の銀は成ります。 隅の老人B 「闇雲に駒を動かす。ともかく詰んだ、手数勘定、125手。アリャ、6手多い。何処かで迂回手順を指したよう、今更調べる気力なし。たぶん、たくぼんさんが調べてくれる。たくぼんさん、宜しくお願いしまーす。」 (再回答) 二度目の感想 ヒントを貰って、漸く解けました。私って好きねぇ。 唯一の自力正解者。私も解く自信はありません。すばらしいことです。自力で解いてくれた解答者がいるということに作者はきっと感激していると思います。 太郎@神無一族 「しつこ過ぎるのがいいと思う。」 ふふふ・太郎さんのPWC審査基準は”しつこさ”なんですね。本作を当作品展に投稿頂き感謝します。 北村太路 「見るからに面倒くさそう。やることは左に追って詰みそう。しかもリズミカルじゃなくて、変拍子入りまくりらしい。・・・ちょっとさわったけどすぐに断念しました。あまりやる気になりませんでした。手順を見てもよくわからず。最近根性が足りないです。(FM使用)」 一番の解法は”根性”ですね・・・隅の老人Bさん 総評&解答成績
【総評】
橋本孝治 「今回は好作も多く、PWCの面白さが伝わる作品展だったと思います。反面、配置等に疑問の残る作も散見され、作家側の熟練度についてはまだ課題が残っているのかなぁという気がします。というわけで、次回以降の本作品展にも期待します。」 まだまだPWCばか詰に関してはこれからでしょうね。皆さん頑張りましょう! 若林 「何となく単独開催ってことで回答要項を調べずにABC評価をつけてしまいましたが、野暮なら削ってください>たくぼんさん 全体として北村さんの発想力にはあらためて感心しました。」 そのまま載せちゃいました。ABC評価くらいはあったほうがいいのかな?ご意見よろしく 隅の老人B 「今回も妙味のある作品が並びましたね。全題正解を目指して頑張りましたが、10番がダメ。 大型連休にPWCばかりでもあるまいと、遂にギブアップ。 さあ、近くの公園に散歩にでも出かけますか。」 「気持ちを取り直して考えました。どうにか解けたようです。これで私の大型連休が始まります。年から年中、なにもせず遊んでばかりで、今更、なにを連休?」 いつもながらの解図力に頭が下がります。私も頑張らないと・・・。 小峰耕希 「たくぼんさん、すみませ〜ん。解いたのはこれ(@〜B)だけです。Fairy BBSに書いたように、最近過去作(特に第19回氾濫)を解くのに熱中し過ぎだったため、気が付いたら締め切り当日になっていました。三郎さんの「螢狩」と七郎さんの437手を時間を費やして解いていながら、短編過半数のPWC作品展の方で3題解答とは、何とも自分らしい気もしますが。ここ数ヶ月は解答専門に回って、中・長編協力詰をそれなりの量解いたので、実際に形になるかどうかは別にして、そろそろ創作も再開しようかと思います。」 作品お待ちしています。KKD揃い踏みを期待します 吉川慎耶 「う〜ん…。結局全然手が付けられなかった。好作の香りがプンプンするのにもったい ないな〜。次回こそは頑張るぞ!(毎回言ってますが)」 もたいなかったですね〜〜〜 もず 「プログレは解けそうにない気がしていましたが、他の作品も難しいものが多かったと感じました。私がPWCの感覚をつかんでいないことが大きいかもしれません。」 もずさんと私は似ている。間違いない。 北村太路 「PWCは手を進めていくのに持駒にできる種類が限られているのは辛いですが、アンチキルケ、キルケよりも復活(というか移動?)できる場所が決まってなくいろいろ動けるから、これはこれで面白くなる。ような気がしてるんですが、気のせいかなぁ。 移動元の位置に復活するので、移動がダイナミックならば位置交換が見ばえがしますが、チェスは足が長い駒ばかり+八方桂に対し、将棋は銀とか金とか1マス単位でべったり貼り付くのでPWCに向かないのかなぁ。何より、成って端に追い詰めると結構単騎でも詰めれるのは致命的かもしれません。(そこを逆手にとるのが大事なのでしょうが)」 足の長い駒のあるチェスなら面白そうと思いますね。ということはフェアリー駒入りのPWCはいけると言うことかな? 伊達 悠 「今僕の頭は、詰将棋脳、ばか詰脳、アンチキルケばか詰脳、そしてPWC脳がごたまぜに入っています。僕がこれだったら、神無ファミリーはものすごい渋滞になっていそうですね(笑)。」 フェアリーのルールは百鬼夜行ですから、創る側ではなく解く側は大渋滞でしょう。私はアンチキルケとキルケが今でもネックです。 * 【解答成績】
解答者数 9名 うち全題自力正解者 1名 なんといっても特筆すべきは全題自力正解の隅の老人Bさんです。すばらしいですね。 10番は詰パラの解答強豪陣の市村・駒井氏に出題してみたい気がします。 |